韓国のmixi、国内No1SNSのCyworldが今年の11月よりモバイルゲームの流通プラットフォームとしてサービスを開始すると宣言しました。
Cyworldは国内SNSを代表するサービスでしたが最近Facebook,Twitter,カカオトークなど新しいサービスにNo1の地位を狙われている状況です。
数値でみるとPC環境での訪問者数が、今年1月2200万人から7月1500万人ほどに激減。
一方、Facebookは同期間400万人より700万人に、カカオストーリーは600万人より1300万人と伸び韓国国内での地盤を固めています。
※Cyworld・カカオストーリーについては「韓国で人気の韓国産SNS7つまとめ」をご参照ください
このような現状を打破するために今回打ち出したのが「モバイルサービスの強化」。
そのための施策のうちひとつが、「モバイルゲーム流通プラットフォーム構築」です。
Cyworldのこのような動きに韓国のIT業界から期待の声を寄せられています。
あるSNSサービス上のあるゲームが大ヒットし、ソーシャルグラフをフル活用したゲームプラットフォームの有効性が国内でも証明されたためです。
そのSNSとは、韓国No1モバイルメッセンジャー、カカオトーク。
カカオトークのモバイルゲームプラットフォームは、アンドロイド版が7月30日に、iOS版が9月11日にサービスを開始しています。
以前このブログでも「5千万ユーザー韓国No1メッセンジャーアプリのカカオトーク、ゲームプラットフォームでもNo1を狙う?」というタイトルでカカオトークのゲームプラットフォームについてお伝えしました。
カカオトークがゲームの流通プラットフォームを提供すると発表した当時、一部では期待を示したものの、一部では本当に上手くいくのかと疑問を抱く声も多々ありました。
しかし、ふたを開けてみると結果は明白でした。
▲「ANY PANG」制限時間内にオブジェクトを移動させ同じ色を揃えるパズルゲーム
7月30日にリリースされたYDオンラインの「ANI PANG(エニパン)」というパズルゲームはリリースして40日間で、
ダウンロード1,200万件を突破し大ヒット作となりました。
一日プレイユーザー700万人
同時アクセス数200万人
Com2usが2010年発売し、「Best Ever App Awards」の2011Best Casual Game部門 1位を受賞したソーシャルゲーム「Slice it!」が1千万件ダウンロードを達成するのに1年以上かかったことを考えるとまさに爆速。
しかも、月間売上げが2億ウォン(約1400万円)と収益創出につながることまで証明されましたのでゲーム業界のカカオトークへの関心度はさらに高まるわけです。
カカオトークのゲームは、アプリ内のリンクからGoogle playなどに移動しダウンロードする方式をとっているため、アプリマーケットでの順位にも影響を与えました。
ANY PANGは短期間でGoogle play売上部門1位突破できました。
上の画像をご覧いただければわかるように、ANY PANGというゲームの内容自体は今までも似たようなゲームはたくさんありました。
一体ANY PANGの何がこのような成功に導いてくれたのでしょう。
1●競争心理を刺激したから?
ANY PANGを使っている友だちのランキングもリストで表示されます。
競争社会韓国の負けず嫌いユーザーたちにとって、順位競争はアツくなれる要素なのかもしれません。
2●ゲームをするに必要なハートは友だちに送ってもらう仕組み?
1ラウンドゲームをやるためには1つのハートが必要になります。ハートを使い切るとゲームができなくなり、8分経つたびにひとつずつチャージされる方式です。
待てずにすぐゲームをやりたかったら課金するか、友だちにハートを送ってもらうか、ANY PANGをやってない友達に招待メッセージを送る方法があります。友だちの紹介でゲームを始め、さらにその友だちにも広まる方式ですね。
この2つの仕組みは確かに「友だちと競争したり協力して楽しむ」という要素を含んでいます。
しかし、これだけで月間売上げ2億ウォンという実績が残せたと納得するには少し物足りない気がします。
だとしたらやはり最大の成功要因は「カカオトークだから」なのではないでしょうか。
●●国内人口80%がアクティブに使っている最強のソーシャルグラフ
9月現在、カカオトークの全世界の利用者数は6000万人とLINEと同級。
しかし、そのうち韓国国内利用者が4000万人と国内での利用率が圧倒的に高いです。
韓国の人口は5000万人なので、国内人口の80%がカカオトークを使っているという計算になります。
2012年前半期、月当たり平均利用時間がスマートフォン基本メッセージアプリが160分、カカオトークが701分で基本アプリより4倍以上を見せていることをみると、カカオトークはただ加入者が多いだけではなくアクティブに使われていることがわかります。
ひとりよりも友だちと一緒のほうはより効率的で楽しく遊べるソーシャルゲームの特性上、リアルの友だちのほとんどがつながっているカカオトークの強力なソーシャルグラフはとても相性がいいですよね。
その証拠としてGoogle Playゲームカテゴリーの上位1位から5位まで全てカカオトークゲームが独占するなど快挙をあげました。
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記事の冒頭の話に戻しますと、韓国No1SNS、Cyworldがモバイルゲームプラットフォーム構築を宣言しました。
ユーザー数が減っているとはいえ、国内1200万人のユーザーが利用し、120億件の写真が蓄積されている強力なSNSであることは間違いないです。
そしてもうひとつ、Cyworldを運営しているSK communicationsは大手キャリアSK telecomeの関連会社なんです。
SK telecomeはゲーム部門で国内では影響力の大きいアプリマーケット、T storeを運営しています。
もしCyworldのゲームプラットフォームとT storeが連携された形で運営されるのであれば、ユーザーにとっても数多くのゲームを友だちと楽しめるというメリットがあります。
※T storeについては「韓国ではアップルストアがぼろ負け?」をご参照ください
カカオトークのゲームが上記のような実績を残して、自社のゲームを提供したいというゲーム開発社が相次ぐ一方、カカオトークのゲーム掲載基準が厳しすぎると愚痴をこぼす開発社もあるようです。
Cyworldがカカオトークの独走を止められるかどうか、今後の展開が非常に気になるところです。
参考記事(韓国語)
ZDnetの記事
MKニュースの記事
韓国経済新聞の記事
韓国経済新聞の記事
BETAニュースの記事
Hangyeoreニュースの記事