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▲画像出所:光明市政策ポータルサイトの記事
海鮮料理の飲食店にデカデカと掲げられた「ソーシャル商店」の表札。
どこにでもありそうな普通の飲食店と近所のおばさんという印象の院所の店長さんはとてもじゃないけど「ソーシャル」という言葉とは関係なさげに見えます。
実はこの店長さん、ソーシャル特別市で運営する「ソーシャル商店学校」第1期卒業生なんです。
しかしながら一体ソーシャル特別市、ソーシャル商店って?とはてなマークが先に浮かびますよね。
●ソーシャル特別市
韓国の首都はソウル特別市ですが、首都圏というとソウルとインチョン国際空港があるインチョン広域市、そしてキョンギ道を含む地域を指します。
ソーシャル特別市はキョンギ道に属している光明(クァンミョン)市。
光明市はSNSを通じて行政と市民、また市民同士も円滑にコミュニケーションし合うソーシャルな都市を目指し、2011年度よりソーシャル特別市であることを大々的にアピールしています。
その一環として去年より市の政策ポータルサイトとTwitter・ブログが開設されました。
その結果、光明市は全国の自治体の中でもブログとSNSを利用したコミュニケーションが最もうまく活用されている都市と評価されました。(韓国インターネットコミュニケーション協会調査2012.9)
そして、今年の3月からソーシャルな市民を育成すべく生涯学習院にて「ソーシャル市民学校」と「ソーシャル商店学校」、また「公務員のためのソーシャル公務員コース」が開設されることになりました。
●ソーシャル商店学校
SNSをマーケティングに活用し、落ち込んでいる地域の商圏を活性化させることを目指し、地域の商人たちに授業を行っています。
具体的には、位置情報基盤のSNSを通じて、地域の商店が顧客と人脈を構築・日常を共有・潜在顧客を創出し、彼らが常連になってもらえるよう自治体が教育とマーケティングプラットフォームを構築するということです。
そのために、位置情報基盤SNS、Im INの開発者のKTHと業務提携し、Im INをマーケティングと広報に活用できるよう商人たちを教育しています。
授業の内容はSNSの使い方だけではなく、自営業者や小規模商工業者が知っておくべきマーケティングの基礎知識や手法、最新マーケティングトレンドの紹介、接客要領などからスタートし、オフラインのお店をTwitterやブログを通じてどうやってPRするか、会員管理はどのようにするのかなど幅広いコンテンツを扱っています。
●位置情報基盤SNS、Im IN
Im INは現在地にチェックインし、友だちと共有できる位置情報基盤のSNSです。
クーポンサービスは従来大手フランチャイズに法人提携で提供されていましたが、去年の12月より小規模事業者向けに無料で提供されました。
クーポンの支給方法も位置情報基盤SNSならではの、チェックインするとその場でクーポンをもらえるものです。
クーポン発行業者には、イベントの効果を測定できる各種データも提供されます。
Im INを運営しているKTHは、1981年創立され韓国の通信業界を支えてきたトップ企業KTの関連会社。
そのため、長年蓄積された膨大なデータを利用できるのが特徴です。
Im INのクーポンの支給方式は「チェックイン」
クーポンイベントを開催中の場所でチェックインをするとクーポンがもらえて、また友だちにチェックイン情報が共有されるためイベントの宣伝効果も大きいです。
韓国のFoursqureとよくいいますが、チェックイン機能だけのFoursqureとはかなりちがうサービスだと思います。
※「地域商人を笑顔にする韓国のクーポンサービス6選」より引用
●受講生の反応
▲コ・ジェヨンパン屋の社長、コ・ジェヨン氏が経験談をレクチャー
講義ではお金は1ウォンもかけずにIm INを活用し、売上げを30%上げ、ちいさいパン屋さんを全国的な有名店にしたコ・ジェヨン社長が直接経験談を語るなど、とても実用的。
今年の7月の修了式でソーシャル商店学校を修了した社長たちの言葉がとても印象的です。
「自営業者のビジネス生存率が低い現実の中、ソーシャル商店を通じて地域商業者にいい機会を提供してくれた。既存のちらしを配るなどのマーケティングを新しい時代に合わせ発展させ活用できるきっかけになった」
「SNSを通じて若い世代と共感しコミュニケーションする方法を習った」
「人の心にアプローチするマーケティング戦略の大切さについて習い、他の小規模商工業人とのネットワークが形成された」
など前向きなコメントがたくさん!
そして早速Im INを使ってキャンペーンを行った結果、お店の場所の問い合わせが増えたり、会員が100人増えたりで効果を体験できた人もいるそうです。
●修了後にも強いネットワーク
▲貝殻の花瓶×お花屋さんのコラボ
受講生同士でアイテムをコラボレーションし新しいアイテムにアップグレードさせたケースも生まれました。
貝殻の花瓶を販売していた人と、お花屋を運営していた人がコラボし、貝殻の花瓶に水耕植物を入れ商品化した結果、商品の問い合わせが増えたそうです。
同期の社長たちもこの商品を自分の店にかざってPRするなど、助け合いのネットワークが形成されたそうです。
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自治体が地域商圏活性化のために広報ツールとしての利用に留まらず、積極的にSNS教育に取り組む姿がすてきです。
日本でも商店街の衰退がや地域経済の落ち込みに懸念の声をよく聞きます。
SNSとITの活用が解決策のひとつになれるといいですね。
参考記事(韓国語)
光明市公式ブログの記事
光明市政策ポータルサイトの記事
ギョンギ道ブログの記事