子どもたちが水滴を眺めている、ミネラルウォーターのペットボトルのデザインとしては少し変わりものです。
実はこの水ブランド、MINEWATERは「バーコードロップ」という寄付キャンペーンを実施し販売量が244%も増加した大ヒット商品なんです。
寄付額はアフリカの水不足国家の子どもたちにきれいな水を提供するのに使われます。
今まで国内外で寄付キャンペーンを通じて売上げを2倍以上上げたケースは滅多になかったという点も注目される理由のひとつでしょう。
●コーズ・マーケティング?
「そうか、コーズ・マーケティングか!」
と考えた方もいらっしゃるでしょう。
知らない方のために説明しますと、コーズ・マーケティングとは
消費者が商品すると企業が収益の一部を社会問題解決のため寄付することで、消費者を注目させ利潤創出をねらう販促活動を言います。
日本で実施されたものでは水ブランドVolvicが2007年度より実施した「1L for 10L」などがあります。
※「1L for 10L」キャンペーンについて詳しくはコーズ・マーケティング・ジャパンさんの記事をどうぞ
しかし、このキャンペーンはコーズ・マーケティングとマッチング・ギフト寄付の性質が両方入っている特殊なものです。
●マッチング・ギフト寄付?
マッチング・ギフト寄付とは
個人から寄せられた寄付額に企業/団体が一定割合で寄付を上乗せする制度をいいます。
東日本大震災を経験した2011年、日本でも多くの企業がマッチング・ギフト制度を使って寄付を募っていたのでこのワードを耳にしたことがある方も多いでしょう。
●バーコードで寄付できる「バーコードロップ」キャンペーン
今回MINEWATERが実施した「バーコードロップ」は名前で推測できるように「バーコード」で寄付ができる仕組みです。
▲これが寄付用バーコード
MINEWATERのペットボトルにはバーコードが商品購入用と寄付用と2種類ついています。
韓国全国のFamily Mart(コンビニ)でMINEWATERを購入する際に、「バーコード読み取ってください」とリクエストすると、ボトル上段の水滴の形をしているバーコードを読み取ってくれます。
バーコードを読み取ることで既存のMINEWATERの価格に+100ウォンの寄付をすることができます。
そして1件の寄付につき、メーカのCJとFamily Martがそれぞれ100ウォンづつと、水1本あたり300ウォンの寄付をする仕組みになっています。
個人の1回の寄付につき3倍の寄付効果を得られるものとなっているのです。
商品の販売額の中に寄付が含まれているのではなく、消費者の意思で寄付するかどうかを選ぶところは今までの一般的なコーズマーケティングの事例とはちょっと異なりますね。
このキャンペーンを通じてMINEWATERの販売量はそれまでの平均と比べ244%増加しました。
さらに、そのうち寄付参加率は51%と非常に高いです。
「商品の販売量をあげる」ことと「寄付を集める」2つの目的を達成できたのです。
●寄付したことをさりげなく周りにアピールできるのが嬉しい!
MINEWATERのバーコードロップは一時期、ネット上で「バーコードロップ認証写真アップ」のブームを引き起こすほど大人気となりました。
認証写真アップブームが起きたことを見ると、「寄付ができる」という事実よりも、かわいいパッケージと、それを持っていると回りから「寄付した人」として見られるのが嬉しいというのが消費者のモチベーションになったのかもしれません。
そして大事なのがもう一点、長年築いてきた国民に信頼されてる大手メーカーCJというブランド力があったというのは大きいでしょう。
寄付「を」しているから買った人も多いでしょうけど、買ってみたら寄付「も」できたというケースもたくさんあったと思います。
「社会貢献しているから買って」というマーケティングではなく、感性に訴える「かわいいパッケージ」と「バーコード寄付」という斬新な取り組みを通じて消費者とコミュニケーションした「バーコードロップ」。
マーケティングをマーケティングだと消費者が認識した瞬間、ブランドとのコミュニケーションを中断するという話を以前どこかで聞いたのですが、MINEWATERはそういった点を踏まえた上でスマートな事例だと思います。
参考記事(韓国語)
韓国日報の記事
NIOさんのブログ