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2012年10月31日水曜日

Yahoo Koreaの事業撤退から考えるモバイル戦争


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Yahoo Korea(ヤフーコリア)が韓国で事業を撤退するというニュースが話題になりました。
Yahooといえば、日本ではショッピングオークションニュースなど幅広い分野で愛されているNo1ポータル。
今年の6月に宮坂学氏が新たに代表取締役に就任して以来、「爆速」をスローガンに掲げ、言葉通り爆速で変化している企業でもあります。
そんなYahoo Japan(ヤフージャパン)とは対照的にYahoo Koreaは長年韓国でのシェアをNaver(ネイバー), Daum(ダウム)などの競合ポータルに奪われ経営不振に悩まされていました。
そしてその結果、韓国で、アジアでは初めての事業撤退を宣言。
まるで狙ったかのようにその次の日にYahoo Japanのカカオに50%出資のニュースが出たときは衝撃が2倍でした。

Yahoo Japanが爆速で変革を繰り返している中、一体Yahoo Koreaに何が起きたのでしょうか。

●90年代後半ポータル市場の王様だったYahoo Korea
▲2000年のYahoo Korea画面

1997年、Yahoo Koreaがサービスを開始した当時はポータルというよりも検索エンジンという概念のもので、インターネットユーザーのほとんどはYahoo Koreaをホーム画面に指定して使っていました。
インターネットといえばYahooという状況だったのです。

それなのに今圧倒的にシェアを奪われサービス廃止にまで追い込まれたのはどうしてでしょうか。

●競合のNaverとDaumの急成長

▲2012年8月 韓国ポータルのシェア率(データ参照)

今韓国で一番使われているポータルといえば間違いなくNaverです。
Naverは他のサービスと比べて少し遅めの1999年にサービスを開始し、2002年に知識共有サービスのNaver知識iNの公開をきっかけに急成長をとげシェアを広げました。
一方、No2ポータルのDaumは1997年に韓国初の無料メールサービスのHanmail(ハンメール)を提供しユーザーを増やしていきました。1999年よりコミュニティーサービスの「Daum Cafe(ダウムカフェ)」をスタートし、国内のオンラインコミュニティー文化を活性化させました。

●Yahoo Koreaの収益が年々激減

急成長してきた競合にシェアを取られながら、収益は年々減少していました。
2007年に有限会社に切り替わる前に発表した売上数値が最も最新のもので、785億ウォン(約57億円)。
検索シェアは減っていましたが、検索広告子会社のオヴァーチュア・コリアの売上がYahoo Koreaを支えてきました。
しかし、2010年10月NHN(Naver)が子会社NHNビジネスプラットフォームを設立し、独自の検索広告市場に参入し始めてから主な収入源までなくなってしまいました。
最近では、Daumも独自広告プラットフォームを運営すると宣言し、160億ウォン(約12億円)ほど売上がさらに減ると予想されていました。
Yahoo Japanの昨年の売上が2,924億円、営業利益1,596億円であることと比べると驚く数値です。Yahoo KoreaはJapanの売上の1.5%にしか満たなかったわけです。

●韓国の一人当たりインターネットのトラフィックは世界一
▲画像出所

韓国といえば、総人口5,000万をやっと超える小さい国にも関わらず全世界のIPトラフィック総量の10%を使っているインターネット強国です。
一人あたりのインターネット・トラフィックも世界1位、スマートフォンからのトラフィック利用量もグローバル平均の3.2倍で世界1位です。
PCとモバイル両面において世界一のヘビーユーザーである韓国は今、モバイル戦争の真っ最中です。

●韓国のモバイル戦争
▲Cyworldの主利用率が年々落ちている(データ出所)

近年、モバイル市場の急成長にうまく対応できずシェアを失いつつあるサービスが増えています。

韓国No1SNSのCyworld(サイワールド)はモバイル対策がうまくできなかった結果、今は利用率はもちろん新規加入者数においてもFacebook(フェイスブック), Twitter(ツイッター), カカオストーリー(kakao story)に負けて苦戦しています。
今は全面的にモバイル部門強化を目指し、改革を行っています。
大手通信会社のKTHが運営するポータルParan(パラン)は、事業不振によりポータルサービスをあきらめてモバイル事業のみに方向転換しました。
国内ではMSN Messangerより強かったPCメッセンジャーサービスNate ON(ネイトオン)も、カカオトーク(kakao talk)にNo1の地位を取られました。
しかしモバイル分野で成功したと言われるサービスにも悩みはあります。
例えばカカオトークは今年の売上が500億ウォン(約37億円)に達すると期待されていますが、相変わらず年間基準では赤字が続くと予想されているのです。

既存のPCインターネット企業がモバイル時代に素早く対応できず苦戦している一方、モバイルを基盤に新たに成長した企業も確実な収益モデルが作られず悩んでいる状況です。

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●Yahoo Koreaはモバイル戦争でも負けた

近年ではYahoo Koreaはこれといったサービスは特に出せてなかった模様。
ショッピング機能も、外部パートナー企業のサービスで、Yahoo Japanの人気サービスのオークションもありません。
昔から特に変わったところもなく、正直モバイルだけではなく全般的に存在感が薄かったのは事実です。

それがモバイルとなると競合との差がより開いていました。

●Yahoo Koreaの存在感の薄さをNaverと比較すると?
▲Naver独自のアプリマーケット

単純に数だけ比較してみましょう。
Yahoo Koreaが提供しているスマートフォンアプリは7つのみ。
Naverは50個ほど。7倍以上ありますね!
しかもNaverの場合、提供しているのは自社のアプリだけではありません。独自のアンドロイドアプリマーケットも運営しています。今までは無料アプリのみを扱っていましたが、今後は有料アプリにまで領域を拡大するそうです。
Naverの運営会社であるNHNの日本法人はあのLINEの開発社でもあります。モバイル事業に力の入れ具合が全く違うのがわかりますね。

※韓国ではiOSのApp StoreやAndroidのGoogle Play以外にも、様々なアプリマーケットがあり活性化されています。

●今後さらに「モバイル」がポイントとなる

今回Yahoo Japanがカカオに出資した目的は
「双方の開発力・顧客基盤を組み合わせ、スマートフォンに特化したコミュニケーションサービスの市場の活性化と一層の拡大を図る」
▲by itmediaの記事
ためと報道されました。


また、つい最近DeNAより実名登録制のスマートフォン通話アプリ「comm(コム)」がローンチされ、公開初日に日本APP STORE無料総合ランキング1位を獲得するなど話題になっています。

何かと「モバイルサービス」が注目を浴びている最近ですが、このモバイル市場は今後さらに増えると予想されています。
今まで韓国の話をしてきましたが、日本国内に目を向けてみると実は日本ってまだスマートフォンの普及率が20%にしか満たないんです。要するにまだまだ市場が伸びるチャンスがいくらでもあるということです。

●グーグル(Google)ですらモバイルビジネスは完全にコントロールできてない

最近のグーグルとNHNの実績をみると、急速なモバイル市場拡大で影響をうけているのはYahoo Japanだけの話ではないことがわかります。
グーグルの今年の3クォーターの純利益は去年の同時期に比べて20%減っています。
これはグーグルの収益の大きい部分を示す検索広告の売上が鈍化したためです。
代わりにモバイル検索が増えましたが、モバイル広告の単価と収益がPCに比べて著しく少ないのが原因です。

NHN(韓国でNo1ポータルNaverを運営)も、今年の2クォーターでモバイル検索が全体検索の半数近くありましたが、モバイル検索広告の収益は全体の10%にも満たない状況でした。
スマートフォンの画面では既存PCの広告モデルをそのまま適用できない上、モバイルコマース市場も複雑な決済手続きなどで期待通り成長しなかったといわれているためです。

グーグルですらまだモバイル市場に関しては思う通りいってないのが現実。
今後さらに増えるだろうモバイルビジネスの需要に応えるチャンスはまだまだあります。

●Yahoo Koreaが韓国から撤退した今後もモバイル競争は加速化する
▲画像出所

お気づきの方も多いことでしょう。LINEとカカオトーク、実は両方韓国資本の会社のサービスです。(※LINEの開発は日本法人のNHN Japan)
Yahoo Koreaがモバイル戦争で負けて韓国から撤退した今後も、韓国のモバイル戦争は世界でも引き続き繰り広げられています。

LINEは全世界で6000万人のユーザーを抱え、そのうち半分以上が日本国内ユーザー。
一方、カカオトークは全世界で6500万人のユーザーを抱え、日本国内でも200万人のユーザーがいます。カカオトークは地元の韓国では4200万人が使うほどの人気を誇っています。

地元韓国ではEC連携、ソーシャルゲームのプラットフォーム化など多くの機能を持って圧倒的な人気のカカオトークですが、日本ではメッセージ機能・法人アカウント機能のみ。
しかも、カカオはベンチャーなのでNHNjapanのようにテレビCMを作ったりとマーケティングに力を入れることもできなかったので、日本市場に関してLINEには敵わなかったのでしょう。
しかし、Yahoo Japanと連携した今、今後のLINE VS カカオトークはさらに激しい戦いになる予感です。

ーーー

めまぐるしく変化が起きている中、素早く対応できないものは取り残されていくどころか排除されていきます。それは大きい企業でも例外ではないというのは今までの歴史の中で何度も何度もありました。
今回のYahoo Koreaの撤退もその例ではないでしょうか。
世界から排除されないようには、失敗した先人から教訓を得て、先読みして行動していきたいと改めて考えさせられるこの頃です。


《参考記事(日本語)》
markezineの記事
日経BPコンサルティングのデータ

《参考記事(韓国語)》
wikitreeの記事
money todayの記事
money todayの記事
inside social webブログの記事
incruitの記事
zdnetの記事
zdnetの記事


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2012年9月20日木曜日

韓国でソーシャルゲームを出すならローカルSNSのプラットフォームを狙え




韓国のmixi、国内No1SNSのCyworldが今年の11月よりモバイルゲームの流通プラットフォームとしてサービスを開始すると宣言しました。
Cyworldは国内SNSを代表するサービスでしたが最近Facebook,Twitter,カカオトークなど新しいサービスにNo1の地位を狙われている状況です。
数値でみるとPC環境での訪問者数が、今年1月2200万人から7月1500万人ほどに激減。
一方、Facebookは同期間400万人より700万人に、カカオストーリーは600万人より1300万人と伸び韓国国内での地盤を固めています。
※Cyworld・カカオストーリーについては「韓国で人気の韓国産SNS7つまとめ」をご参照ください

このような現状を打破するために今回打ち出したのが「モバイルサービスの強化」。
そのための施策のうちひとつが、「モバイルゲーム流通プラットフォーム構築」です。

Cyworldのこのような動きに韓国のIT業界から期待の声を寄せられています。
あるSNSサービス上のあるゲームが大ヒットし、ソーシャルグラフをフル活用したゲームプラットフォームの有効性が国内でも証明されたためです。


そのSNSとは、韓国No1モバイルメッセンジャー、カカオトーク。
カカオトークのモバイルゲームプラットフォームは、アンドロイド版が7月30日に、iOS版が9月11日にサービスを開始しています。
以前このブログでも「5千万ユーザー韓国No1メッセンジャーアプリのカカオトーク、ゲームプラットフォームでもNo1を狙う?」というタイトルでカカオトークのゲームプラットフォームについてお伝えしました。

カカオトークがゲームの流通プラットフォームを提供すると発表した当時、一部では期待を示したものの、一部では本当に上手くいくのかと疑問を抱く声も多々ありました。


しかし、ふたを開けてみると結果は明白でした。

▲「ANY PANG」制限時間内にオブジェクトを移動させ同じ色を揃えるパズルゲーム

7月30日にリリースされたYDオンラインの「ANI PANG(エニパン)」というパズルゲームはリリースして40日間で、
ダウンロード1,200万件
一日プレイユーザー700万人
同時アクセス数200万人
を突破し大ヒット作となりました。
Com2usが2010年発売し、「Best Ever App Awards」の2011Best Casual Game部門 1位を受賞したソーシャルゲーム「Slice it!」が1千万件ダウンロードを達成するのに1年以上かかったことを考えるとまさに爆速。
しかも、月間売上げが2億ウォン(約1400万円)と収益創出につながることまで証明されましたのでゲーム業界のカカオトークへの関心度はさらに高まるわけです。

カカオトークのゲームは、アプリ内のリンクからGoogle playなどに移動しダウンロードする方式をとっているため、アプリマーケットでの順位にも影響を与えました。
ANY PANGは短期間でGoogle play売上部門1位突破できました。

上の画像をご覧いただければわかるように、ANY PANGというゲームの内容自体は今までも似たようなゲームはたくさんありました。
一体ANY PANGの何がこのような成功に導いてくれたのでしょう。


1●競争心理を刺激したから?

ANY PANGを使っている友だちのランキングもリストで表示されます。
競争社会韓国の負けず嫌いユーザーたちにとって、順位競争はアツくなれる要素なのかもしれません。

2●ゲームをするに必要なハートは友だちに送ってもらう仕組み?

1ラウンドゲームをやるためには1つのハートが必要になります。ハートを使い切るとゲームができなくなり、8分経つたびにひとつずつチャージされる方式です。
待てずにすぐゲームをやりたかったら課金するか、友だちにハートを送ってもらうか、ANY PANGをやってない友達に招待メッセージを送る方法があります。友だちの紹介でゲームを始め、さらにその友だちにも広まる方式ですね。


この2つの仕組みは確かに「友だちと競争したり協力して楽しむ」という要素を含んでいます。
しかし、これだけで月間売上げ2億ウォンという実績が残せたと納得するには少し物足りない気がします。
だとしたらやはり最大の成功要因は「カカオトークだから」なのではないでしょうか。

●●国内人口80%がアクティブに使っている最強のソーシャルグラフ


9月現在、カカオトークの全世界の利用者数は6000万人とLINEと同級。
しかし、そのうち韓国国内利用者が4000万人と国内での利用率が圧倒的に高いです。
韓国の人口は5000万人なので、国内人口の80%がカカオトークを使っているという計算になります。
2012年前半期、月当たり平均利用時間がスマートフォン基本メッセージアプリが160分、カカオトークが701分で基本アプリより4倍以上を見せていることをみると、カカオトークはただ加入者が多いだけではなくアクティブに使われていることがわかります。


ひとりよりも友だちと一緒のほうはより効率的で楽しく遊べるソーシャルゲームの特性上、リアルの友だちのほとんどがつながっているカカオトークの強力なソーシャルグラフはとても相性がいいですよね。
その証拠としてGoogle Playゲームカテゴリーの上位1位から5位まで全てカカオトークゲームが独占するなど快挙をあげました。

ーーー

記事の冒頭の話に戻しますと、韓国No1SNS、Cyworldがモバイルゲームプラットフォーム構築を宣言しました。
ユーザー数が減っているとはいえ、国内1200万人のユーザーが利用し、120億件の写真が蓄積されている強力なSNSであることは間違いないです。
そしてもうひとつ、Cyworldを運営しているSK communicationsは大手キャリアSK telecomeの関連会社なんです。
SK telecomeはゲーム部門で国内では影響力の大きいアプリマーケット、T storeを運営しています。
もしCyworldのゲームプラットフォームとT storeが連携された形で運営されるのであれば、ユーザーにとっても数多くのゲームを友だちと楽しめるというメリットがあります。
※T storeについては「韓国ではアップルストアがぼろ負け?」をご参照ください

カカオトークのゲームが上記のような実績を残して、自社のゲームを提供したいというゲーム開発社が相次ぐ一方、カカオトークのゲーム掲載基準が厳しすぎると愚痴をこぼす開発社もあるようです。
Cyworldがカカオトークの独走を止められるかどうか、今後の展開が非常に気になるところです。



参考記事(韓国語)
ZDnetの記事
MKニュースの記事
韓国経済新聞の記事
韓国経済新聞の記事
BETAニュースの記事
Hangyeoreニュースの記事


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